医療現場では、医師をトップとするヒエラルキーが作られているのが一般的でした。日本に限らず世界的に見ても同様の傾向があり、医学に詳しく診断を下せる知識や技術、治療の経験もある医師が最も重要だと考えられてきたのです。現在でも医師が主導して診療が進められている病院やクリニックも多いですが、そのやり方に限界を感じている人もいるでしょう。病気の種類も多くなり、いかにして治療法が確立されていない病気を治療するかも、大きな課題となっているからです。
この解決策として欠かせないのが、チームワークの重要性を認識することです。医療現場では医師が重要な役割を果たすことには変わりませんが、多職種のスタッフの参加も積極的に促し、尊重していくことが必要といえます。看護師は患者の様子を聞き出したり、観察したりするうえでは医師よりも優れているでしょう。医薬品の取り扱いについては、薬剤師の方が専門的です。このような多職種がそれぞれの専門性を発揮して、医師と対等な立場で医療に携わることで医療水準が向上していきます。
このような動きを起こすうえで最も重要なのが、医師の方から手を差し伸べることです。自分が偉いと思っている医師ばかりの現場では、他のスタッフが意見を出すことは困難です。わからないから教えて欲しい、専門職として自分にはできないことをやって欲しいというスタンスで接することで、しっかりとしたチームワークが生まれてくる可能性が見えてきます。